新人国税専門官の最初の配属が田舎だったら・・・出世は絶望的なのか?

公務員

こんにちは。元国税専門官法人調査をやっていたバツマルといいます。
国税専門官の採用試験や業務について経験談を交えつつ、受験生や新人職員の皆さんに役立ちそうな記事を書いています。

さて今回は「国税専門官の出世」に関するテーマになります。

以前、「国税専門官の出世の限界は?」という記事を書き、どこまで出世できるのかについて解説しましたが、それとは違い、最初の配属で田舎の小規模税務署に配属になったら、今後の出世はもう無理なのか?という視点になります。

それでは解説に入っていきましょう。

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最初の配属署は確かに一つの指標ではある

国税専門官が出世コースに乗るためには、三つの努力を積む必要があります。

一つ目が調査・徴収などの成績を上げること
二つ目が上司や署の幹部に気に入られること
三つ目が研修でいい成績を修めること

これらの項目で同期よりも高い評価を受け続けることで、税務署の総務課や国税局の主務課といった出世街道を走ることが可能になります。

国税専門官として採用されたら税務大学校で研修を受け、その後税務署に配属になります。
どの税務署に配属になるかは様々な要素が挙げられますが、中でも「研修の成績」が大きくかかわってきます。

研修の終盤に筆記試験があり、これで上位に入れば大規模署へ配属される可能性が高くなります。
それはつまり、大規模署に配属される職員は「成績がいい=出世を見込まれている」ということになります。

従って、最初の配属が大規模署の職員と田舎の署の職員を比べれば、やはり田舎の小規模署の職員はスタートラインが一歩違う、と言えると思います。

ただし自ら田舎の署を希望した場合は、その希望が反映されている可能性がありますから何とも言えません。

あくまで配属希望署に関しては考えないと仮定して、です。

もしあなたが大規模署を希望したうえで、希望通りの配属になったら掛け値なしに喜んでいいです。
現時点で同期の中で評価されていることは間違いありません。

一方、大規模署を希望したにもかかわらず田舎の税務署に配属となったら、もう出世は諦めるしかないのでしょうか。

いえいえ、全くそんなことはありません。
次はその理由を詳しく書いていきます。

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配属されてからが本当の勝負!

国税専門官が若手時代に受ける研修は三つあります。
専門官基礎研修、専攻税法研修、専科研修で、この順番通りに受講することになります。

最初の配属前に受けたのはもちろん専門官基礎研修です。

正直、重要度では一番低いと思います。
まだ税法の基礎や社会人としてのマナーなどを教わるだけなので、今後の出世を左右するほどの影響力はないと考えられます。

それよりも専攻税法研修、さらに専科研修での成績が重要です。
特に専科研修は6か月という長期に及ぶ研修で、内容も高度なものになっています。

専門官基礎研修、および最初の配属は単にスタートラインを少しずらすためだけのもの。

それよりも今後の研修の方が圧倒的に大切だと思ってください。

それだけではありません。
出世のためには調査・徴収業務で成績を残す必要があります。

国税専門官は公務員には珍しく、目に見える数字が人事評価の対象になります。
どれだけの件数をこなし、多額の不正を見つけたかというのは出世のために必要な材料であるとともに、そのまま上司や署の幹部から気に入られる一因になるのです。

最初に書いた出世のための3つのポイントのうち二つを押さえるには、基本中の基本である調査・徴収業務を頑張ることが一番の近道ということです。

もちろん、遅刻、欠勤などをせず、他の職員と円滑なコミュニケーションを図るなどの基本的なところもしっかり見られています。

仮に意に反して小さな税務署勤務になったとしても腐る必要は全くありません。

そんなことよりも一日も早く業務に慣れて一人で調査・徴収で数字を上げることに神経を集中させた方がよっぽど有益です。

大規模署に配属されて油断している同期を出し抜きたいのなら、配属されてすぐの今がチャンスです!

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小規模署で出世を目指すうえでのポイント

さて、では出世欲が大きく上昇志向の方に向けて、小規模署ならではの立ち回り方について考えていきましょう。

まず、小規模署は田舎に所在していますから、基本的に娯楽が少ない環境にあります。
そんな中で、署の統括官・幹部に気に入られるためにできることというと、やはり飲み会になるでしょう。

そもそも税務署の職員、特に年配の方はお酒好きの割合が非常に高いです。
外せない用事があるときを除いて、飲みに誘われたら行ってみる、というスタンスでいるのが良いと思います。

署内の何人かと飲みに行ってみて、「お、この人とはウマが合いそうだ」と感じたら自分から誘ってみましょう。

もちろん毎晩飲み歩いていては仕事に支障がありますからほどほどにしましょう。

少しずつ輪を広げて、普段はかかわりのない部署との交流も深めることが大事です。
そうすることで仕事上でもコミュニケーションがスムーズに行えますから、わからないことを聞きたい時、書類の不備を指摘しなければいけない時など、後回しにしがちな面倒事をさらっと終わらせる手助けになるのです。

国税専門官に限ったことではないのですが、「仕事ができない」と言われている人のほとんどは、大きな失敗をしてしまったりサボってばかりなど極端な問題があるというよりは、仕事を溜めて期限を過ぎてしまう・・・といった、少し気をつければ解決できるミスをする人が多数を占めています。

そんな些細なことで「仕事ができない」という烙印を押されるのは非常にもったいないことですから、人脈を作るのと並行して、自分の仕事がしやすい環境に変えていきましょう。

とはいえ、いくらお酒の付き合いが良いからと言って、それだけで上司の評価が上がることはありません。
お酒の苦手な人や家庭がある人はなかなか飲み会に参加できないこともあるでしょう。

やはり出世をするうえで一番の近道は、仕事と研修で実績を残すことです。

では小規模署でこそできることはどのようなものなのでしょうか。

正直、仕事で成績を上げるのは、どんな税務署でも同じぐらい難しいことです。
小規模署だから有利、不利、というのはありません。

大規模署のほうが多くの大企業を管轄内に抱えていることから有利に見えますが、大規模法人ほど会計監査や内部監査がしっかりしていますから不正は起こりづらいです。

というか大規模法人になると税務署の管轄ではなく国税局が乗り出すことになりますから、調査したくてもできませんしね。

新人が調査するのは中小企業が中心なので、どんな税務署に配属されようが法人で言えば資本金1億円未満の会社を調査することに変わりないのです。

となれば、やはり研修で差をつけるのがおススメです。

周辺にカラオケや映画館などの娯楽施設がないのなら、仕事後の時間を使ってやるべきことは一つです。

勉強しましょう。

専攻税法研修、専科研修でどのような講義があるのかは先輩に聞けば教えてくれます。
お願いすればテキストを貸してくれる人もいるでしょう。

研修の成績が大事なことは全員が知っています。
が、全員がしっかり勉強するかというと、それは別の話です。

普段抑圧された職場にいるせいか、研修が始まったとたんに遊びまくる人が続出します。

そしてそれ以外の、しっかり予習復習を続けた者のうち一握りが成績上位者として金時計を手に入れます。

最上位の出世を目指すなら金時計は必須です。

彼らを出し抜くには、研修が始まってから勉強していては間に合いません。
毎日少しずつでもいいので、税法の勉強を続けるようにしましょう。

大規模署に配属になった同期との差は大したものではないとはいえ、確実に存在します。

その差を埋めて巻き返したいのなら、努力を惜しむわけにはいかないのは当然ですよね。

4.まとめ

さて、最後まで読んでいただいた皆さんならよく分かったと思いますが、小規模署に配属になったからといって、同期と出世で大きな差がついたわけではありません。

大事なことは、配属された税務署でどれだけ努力できたか、です。

そしてもっと大事なことは、出世に対する価値観は人によって違う、ということです。

国税局の主務課よりも調査・徴収の現場仕事が好きで、あえて出世を断っている人もいます。
子供の学校や両親の介護を理由に、残業の少ない税務署に残っている人もいます。

人それぞれに仕事に対する考え方、捉え方があり、よほどのことがない限りは尊重されるべきものです。

皆さんも若いうちは大丈夫でも、人生の転機を経るうちに出世よりも大事なことを見つけたり、やむなく諦めることがあるかもしれません。

そんな時は落ち込んだり絶望したりせずに、代わりの大事なものをしっかりと守っていけばいいのです!

と、偉そうなことを言いながらバツマルは国税専門官をやめてしまっているので、何の説得力もないわけですが。

今回は以上です!

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