国税専門官VS民間の営業マン!ホワイトなのはどっち?両方経験したバツマルの結論

今回は、国税専門官と民間企業の営業マンを「よりホワイトなのはどちらか」という観点で比較してみようと思います。

ともに数字に追われ、体育会系のノリと「根性で乗り切れ」みたいな風潮がある国税専門官と営業マン。

公務員と民間企業という違いはあれども、親和性が高く、相互間の転職者も一定数存在します。
何を隠そう筆者のバツマルは民間企業で営業経験があり、その後国税専門官に転職したという経歴の持ち主です。

民間企業は大企業でも零細企業でもない「中堅企業」で、商社の法人営業を担当していました。
なんとなく、「世の中の営業の平均」みたいな感じがしませんか?

というわけで、かなり私見が入ってしまうことをご承知いただき、自身の経験および、様々な業界の知り合いの話をもとに「国税専門官と営業マンではどっちがホワイトか」を論じていきたいと思います!

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「数字・成績に対する圧力」は国税専門官がホワイト!

国税専門官が営業マンと比べられるのは、何と言っても「数字・成績に追われる」という公務員には非常に珍しい評価制度があるためでしょう。

営業マンの数字・成績というと、売上や利益ということになります。
新規取引の件数をカウントする場合もあるでしょうか。

いかに自社で扱う商品を多く売り、会社に利益をもたらしたかとう大変わかりやすい指標で評価されるシステムになっています。

一方国税専門官はどうでしょうか。最も人数の多い調査官を例に挙げると、彼らの数字・成績は「調査実施件数、不正発見額(数)、重加算税額(数)」になります。

上司から指示された調査対象者へ実際に調査を実施したかどうか、そして不正をどれだけ発見し、またそのうち悪質な不正はどれだけあったか、というものです。
こちらも営業マンと同じく非常に明確で客観的な評価ですね。

では数字・成績に対するそれぞれの圧力やプレッシャーに違いはあるのでしょうか。

もちろんあります。
これはほとんどの場合、民間営業の方がキツイです。

バツマルが営業時代に所属していた会社は、わりと安定的な業界のために基本的にはのんびりした雰囲気だったのですが、それでもこと営業成績については上司からかなりのプレッシャーがありました。

新規案件を獲得するために客先に出張する時は、出かける前に上司から「絶対とってこいよ」と檄を飛ばされ、かえって委縮してしまいうまくいかない、そして帰ったら上司に雷を落とされる・・・という最悪なパターンを経験した営業マンも多いのではないでしょうか。

営業成績一覧のようなものを貼りだして、未達の社員をつるし上げるようなことをする会社もあると聞きます。
あるいは
「新規案件を獲得するまで外回りから帰ってくるな」
「ノルマ未達分は自腹で補え」

など、コンプライアンスのかけらもないことを言い、それがおかしいことだと誰も声をあげない体質の会社すらあります。

世の中の営業マンは本当に大変な思いをしながら、日々数字と戦っているのです。

対して国税専門官はどうでしょうか。

同じく数字に追われる日々を送っています。
税務調査を行うたびに「頼むから何か見つかってくれ・・・」と祈るような気持ちで帳簿をめくります。

大抵の場合は何かしら不備や不正が見つかるのですが、帳簿を逆さから読んでも一切何も出てこないこともあります。

どれだけ優秀な調査官でも百発百中というのはありえません。
それは調査を指示している上司の統括官もわかっています。
ですので十回に一回とか、そのぐらいの頻度なら「何も見つからなかった」という報告も通りやすいです。

しかしそれが二回、三回と続くとどれだけ温厚な上司でも「ちゃんと調査やってんの?」という態度を出してきます。

民間企業と似たような感じですが、さすがに「見つかるまで帰ってくるな」と言われることはありませんし、みんなの前でつるし上げをされることもまずありえません。

せいぜい、会議室に呼ばれて「君、このままじゃちょっとまずいよ」とネチネチ小言を聞かされるぐらいです。
それはそれで嫌なものですが、やはり比較するとより精神的に辛いのは民間営業です。

よって数字・成績に対するプレッシャーという点では国税専門官に軍配が上がります。

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「給与のインセンティブ」は民間営業がホワイト!

こちらは詳しく説明する必要がないかもしれません。

国税専門官は税務調査で不正をたくさん見つけ、重加算税を賦課するほど出世すると言われています。
出世すれば調査から離れた総務課などの部署、あるいは国税局や国税庁、財務省といった本省庁への異動があります。

結果として肩書がついたり手当が乗ったりして年収に帰ってくるのは間違いないのですが、1年間で不正発見数0の調査官に対して、重加算税を見つけまくった調査官に昇給や賞与でインセンティブが与えられるかというと、そういうことはありません

人事評価でA~Cが振り分けられるので、多少は色がつくでしょうがたかだか数千円でしょう。
残業を何時間かすればいいぐらいの金額です。
短期的な目で見れば、あまりガツガツ成績を残しすぎると事務処理が膨大になるだけで、あまり実入りは良くないのです。

さて、民間企業の営業マンは違いますね。
バツマルのいた会社でもそうでしたが、頑張れば頑張った分だけ年収に反映されます。

例えば賞与を計算するときに、「基本給×月数」という式を使いますが、この月数が最大1.5の差がつけられていました。

基本給が30万円だとすると、賞与で45万円の差がつくのですから相当なインセンティブです。
比較的安定的な業界だったにもかかわらずこの格差ですから、不動産やコンサルなど実力主義の強い業界ならもっとインセンティブの幅があるでしょう。

優秀な人が多く稼ぐことが出来るというのは、やはり利益を追求する民間企業ならではですね。

ということでインセンティブの点では民間営業がホワイトです。

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「体育会系のノリ、飲み会の苦痛」は国税専門官がホワイト!

国税専門官は公務員の世界では体育会系と言われています。

警察や消防、自衛官などの公安系には劣りますが、事務系公務員には珍しく根性論や精神論を持ち出す人が多く、飲み会が頻繁に開催される組織なのです。

あくまで一般論になりますが、体育会系気質な職場や仕事上での飲み会が多いことは、特に若い人にとってあまり歓迎されることではないですよね。

国税専門官は古い考えの人が多く、「根性が足りない」が口癖の人が一定数存在します。
定時より早く来ることを美徳としたり、上下関係が厳しかったり・・・まあどこの世界でもよくあることです。

飲み会も頻繁に開催されていて、苦手な人にはつらい時間かもしれません。
救いなのは署の幹部が参加する公式飲み会はそれほど多くなく、またメンバーが身内のみなのでお酌をして回るような事態にはならないことです。

国税専門官は調査対象者となる可能性のある者や税理士とは利害関係者にありますので、飲み会の席に同席することは基本的にありません。

また酔っぱらって調査に関することを他の人に聞こえるような音量で喋ってしまうと守秘義務違反になるので、日付が変わるまで飲むようなこともほとんどないです。

日頃からお酒には気を付けるよう通達されているので、深酒や声の大きさには非常に敏感になっており、その点では比較的穏やかで平和な飲み会になります。

一方、営業マンと体育会系、そして飲み会というのはもはやセットと言っても過言ではないぐらい、密接な関係にありますね。

そもそも営業マンは外回りが多く、社外の人と交渉することが多いので、学生時代に体育会系の部活を経験した人を積極的に採用するため、根性・情熱に溢れ、コミュニケーション能力に長けた人がほとんどです。

最近では交際費の削減やコンプライアンスの関係で、接待というものは少なくなりましたが、いまだ文化として残っている業界は存在します。

身内しかいない気楽な飲み会と違い、取引先の人をもてなし、おだて、自分のことを気に入ってもらうための接待は、体力・精神力共に相当辛いものがあります。

お酒が苦手で・・・は通用しない世界で、相手に「飲め」と言われれば飲み、「踊れ」と言われれば踊る。
さすがにそこまで極端な接待は絶滅寸前でしょうが、接待をする側とされる側のパワーバランスによっては、間違いなく未だに存在するイベントです。
あるいは社内の忘年会、歓迎会で新人に一発芸をさせる会社は少なくありません。

ほんの数年前にバツマルが新卒で入った会社もそうでした。
「自分たちもやってきたから」という先輩からの謎の激励をもらい、嫌々ながら女装をして踊った経験があります。

知り合って間もない同期と打ち合わせや練習をすることで、結果的に早く打ち解けられたというメリットはあったものの、もう一度やりたいとは思えないですね・・・。

というわけで、長くなりましたが、体育会系のノリ、飲み会頻度は国税専門官が断然ましでしたね。

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「組織の人間関係」は民間営業がホワイト!

民間企業で営業マンをしていた時に一番良かったと思うのは、特に年の近い先輩の面倒見が良かった点です。

先ほども書きましたが営業マンは学生時代にスポーツ、それもサッカーや野球などの集団競技をやっていた人が多いので、本当に後輩の指導が上手で、チームワークを大事にする雰囲気がありました。

もちろん、時には先輩風を吹かせることもありましたが、新人への仕事の振り方、失敗のカバー、合コンへの誘い・・・楽しいときも辛いときも親身になって寄り添ってくれた思い出があります。

同じく民間企業の営業マンとして働いていた友人に話を聞くと、やはり先輩・上司には尊敬できる人が多く、「どれだけ辛い仕事が待っていても、この人たちがいてくれるなら、という思いで頑張れている」と語っていました。

外回りが多く、時には厳しいことを言われたりクレームをつけられたりするからこそ、同じ会社で働いている、という団結力が高まるのかもしれません。

国税専門官はどうでしょうか。

採用されたあとに受ける研修が終わると、税務署の管理運営部門に配属されます。
そこでは30~40代の中堅職員が教育係として仕事を教えてくれます。

教育係は税務署の中で人当たりが良く、新人教育に向いている人が任されるので安心して仕事を覚えていくことが出来ます。

ただ、その後調査部門や徴収部門に配属されると話は変わってきます。

管理運営部門時代の丁寧な指導はなく、基本的に「自分で考える」「見て盗め」というスタイルです。

もちろん最初の頃は先輩職員が調査・徴収についてきてくれますが、それも数回だけです。
配属から一か月もたてば一人で相手先に行かされるのです。

当然、座学で税務調査のやり方は学んでいるのですが、一度や二度先輩がやっている姿を見たぐらいでうまくやれるはずがありません。
ズタボロな状態で署に帰って来て、上司に怒られ、具体的な改善点は自分で考えろ、と言われ更にわからなくなるが、また来週には次の調査に行かなければならない・・・

読んでもらってわかると思いますが、調査・徴収部門の指導は、なかりほったらかしです。

失敗から学ばせる、というのはひとつのやり方だとは思うのですが、失敗した後のフォローが全然なく、バツマルは「なんじゃこれは」と絶望したのを覚えています。

そんなことは数か月~1年もすれば、さすがに自分のやり方というか、スタイルが身についてくるので少しずつ「こういうふうに帳簿を見れば不正を見つけやすいかも」といったことがわかってきます。

ですが、正直バツマルは納得がいきませんでした。

民間企業で営業マンをやっていた頃とのギャップがあり過ぎること、自分のスタイルを見つけられたのは運が良かっただけのこと、そして一人前になるのに時間がかかり過ぎること、何よりも放置されていたおかげで、同じ部署の先輩や上司に何の尊敬の念も抱けない自分に気付いたことで、
「やっぱり丁寧に教えてくれた方が絶対よかった」
と思ってしまいました。

これはあくまでバツマルのいた会社、税務署での話なので一般論に拡大させることではないかもしれませんが、やっぱり国税という組織がそういう体質だからだと思うので、組織内の人間関係は民間営業のほうがホワイトだったなと感じています。

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「仕事量の多さ」は国税専門官がホワイト!

国税専門官として税務署で働いている限り、基本的には定時か、1時間以内の残業で帰ることが出来ます。

公務員は予算が厳格に決まっているので、今年度の人件費が○○円となっていたら、それ以下に収める必要があるのです。
残業を自由に許してしまうと1年間の人件費の額が読めず、思いがけない金額になって困ってしまう、ということになりかねません。
ですので基本的に定時に帰宅させ、重加算税案件など時間のかかる業務をかかえている場合だけ認める、というイメージです。

部署のまとめ役である統括官が率先して定時に帰るようお達しがあるので、部下たちも気兼ねなく終業することが出来ます。

そもそも普段の業務で何時間も残業するような仕事量はありません。
きっちりと手順通りにこなしていれば定時には処理し終わっているのが普通です。

たまに期限のある仕事を後回しにしてしまって、あとから大変な思いをしている人もいますが、それは例外です。

人件費の原資は税金ですから、可能な限り抑えるべきなのは当然ですね。

ただし2~3月の確定申告時期は税務署を挙げてのイベントというだけあって、かなりの業務量が発生します。

特に個人課税部門管理運営部門の職員はある程度の残業をすることになります。

決まった時期だけのことですし、長くても3ヶ月程度です。
日付が変わるまで仕事をするようなことはまずありませんから、残業に関して国税専門官は非常にホワイトです。

なお、国税局や国税庁へ異動になると残業地獄が待っていますので、税務署限定のことと思ってください。

民間企業の営業は、業界や会社によるところが大きいのですが、国税専門官と比較するとやはり残業は多くなります。

客先からの要望があれば定時後に対応することはザラですし、残業することが美徳とする会社すら存在します。
定時で帰ろうものなら、「え、もう帰るの?」みたいな目でみられたり、「何か用事あるの?」と聞かれたり。

用事がなければ残業するのが当たり前、というのがそもそもおかしいことに気付いていないんですね。

営業マンは出張や外出が多いですから、客先の都合で夜に打ち合わせをして、そこから帰社して事務処理・・・ということも珍しくありません。

出勤は始業時間の30分前、という謎ルールのある会社があったりしますね。
何のための始業時間なのか、と聞きたくなりますが、朝早く来て夜遅く帰ることこそが正しい、というのは何十年も変わらない、営業マンの掟なのでしょうね。

残業に関しては国税専門官が大差をつけて圧勝です。

ただ残業代で稼ぎたい人には向いていないかもしれません。

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まとめ

今回は5つのポイントで国税専門官と民間企業の営業マンを比較しました。

国税専門官の方がホワイトなこともあるし、その逆もあります。
今回の記事をもってどちらが総合的にホワイト、と答えを出すのは非常に難しいのですが、あえて勝敗をつけて就活を控えた学生にお勧めするとすれば、国税専門官になると思います。

民間企業というのは本当にピンキリで、高給・ホワイト・まったりの三冠王みたいな優良企業がある一方、超絶ブラックで悲惨な会社までありますから。

それもそこそこ名の通った一部上場企業ですら入社するまでブラック企業なのか判断がつかない場合がほとんどです。

国税専門官も税務署や部門によって違いはあるのですが、いわば同じ会社の支社、支店、部署の違いぐらいなので、落差としては大きくありません。

バツマルが経験したようなことが、たぶんほとんどの税務署で当てはまると思いますから、「だいたいこんな待遇だな」と予想可能なのです。

大当たりがない代わりに大外れもない。

バツマルの安定志向から導き出した答えですので、皆さんの考え方によっては民間企業の方がいい、ということになるかもしれませんね。

いずれにしても、国税専門官と民間企業の営業で迷っている人がいるなら、少しでも参考にしてほしいと思います。

それではまた!

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