国税専門官になる前と後で感じた「想像と現実」の違いランキング

公務員

元国税専門官として、自身の経験をもとにブログを書いているバツマルです。

今回は、国税専門官になる前と後でバツマルが実際に感じた「国税専門官になる前と後での想像と現実の違い」について、ギャップが大きかったものをランキング形式で書いていきたいと思います。

記事の長さの関係上、トップ3までとなっていますが、どれも入庁前後で大きく印象が変わったものばかりです。

ただしあくまで個人的な感想や、自分が所属していた組織での話なので、絶対的なものではないことをご了承ください。

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第3位 思ったよりほったらかし

上下関係が厳しく、体育会系な雰囲気の強い国税専門官とはいえ公務員。
研究が充実していることも知られていますから、現場に配属されてからもしっかりとしたOJTや研修で仕事を覚えていく・・・。

そんな想像をしていたバツマルでしたが、徐々にそうではないことに気付いていくのでした。

管理運営部門では丁寧な指導

税務署に配属されて約1年間は管理運営部門で、受付や納税業務に従事することになります。

管理運営部門には毎年のように新人が配属されてきますので、ここの職員たちは新人指導のプロです。

人当たりの良さ、面倒見の良さ、年齢、性別、指導力・・・様々な特性を持った職員が税務署の中から選ばれて配置されており、基本的に丁寧に仕事を教えてくれます。

もちろん中には厳しめの人もいますが、あくまで「管理運営部門の中では」という注釈をつける必要があります。

管理運営部門での指導は、おおむねバツマルが想像していたような内容だったので、ちょっと安心したのを覚えています。

そして管理運営部門だけではなく、課税部門や徴収部門でも同様の指導をしてくれるものだと思い込んでいたのですが、それは間違いでした。

課税・徴収部門では放置ぎみ

管理運営部門で1年間の修業をしたのち、新人は課税部門又は徴収部門に配属され、いよいよ現場での仕事が始まります。

管理運営部門時代よりも覚えることがもりだくさんですから、さぞ丁寧な新人教育があるのかと思いきや・・・。

実態はほとんど放置されていたようなものでした。
最初の調査こそ上司が付いてきてくれ、大体流れを掴むことが出来ました。
(なお、上司は黙々と調査をするだけで、今何をやっているのか、どんなことに気を付けるのか等の説明は一切ありませんでした。)

それをたった一回経験した後、次回の調査は一人で行ってこいと言われるのです。
後日、別の税務署に配属された同期達にも聞いてみましたが、皆同じような状態だったようです。

そもそも調査に行く前の準備すら教えてもらっていないのです。
どんな書類を用意していくのか、調査先の連絡方法はどうするのか・・・。

調査手法は実際に経験して覚えろ、という教育方針なのかもしれませんが、あまりにも放ったらかしすぎやしないか?と疑問に思ったことを覚えています。

全てこちらから聞かないと教えてくれないのは不親切だと感じました。
少なくともマニュアルを渡してくれるか、マニュアルの保管場所を教えてくれれば自分で勉強するのに・・・と不満は募るばかりで、帰りの電車で同期と今後の仕事についての不安を打ち明けあった日々でした。

自ら学ぶ姿勢が必須

調査部門に異動して感じたことは、とにかく自分から質問したり動いたりすることを求められているということでした。

普通なら最低限教えてくれそうなことでも、最初のアクションは常にこちらからです。
待っていては永遠にわからないままです。

聞けば最低限のことは教えてくれるはずです。
それ以上のことは・・・過去の資料を見るなどして自分で勉強するしかないですね。

バツマルや同期達は、週末も家やカフェで税法の勉強をして何とか税務調査に対応できるような知識を得ようともがいていました。
新人だから、ということもあるでしょうが、税法や税の仕組みは毎年のように改正があります。

国税専門官になるというのは、一生勉強が続くということだ、と気づいたのは職員になってしばらく経ってからでした。

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第2位 専科と普通科の壁

国税専門官受験生の方なら専科と普通科についてある程度ご存じかと思いますが、一応簡単に説明しておきます。

専科は、大卒程度の国税専門官採用試験を受けて採用された人たちを指すのに対し、普通科は高卒程度の税務職員採用試験を受けて採用された人たちをいいます。

専科と普通科はともに税務署や国税局の職員として働く仲間であることは間違いないのですが、試験内容、大卒と高卒、研修の厳しさ、出世など様々な点で比較されるとされ、ネットの掲示板などでは「両者は対立している構図がある」との書き込みが多く見られます。

この点についてバツマルはネット掲示板の情報を鵜呑みにしていたわけではありませんでしたが、多少なりとも壁はあるだろうと考えていました。

それでは実際はどうだったのか見ていきましょう。

中堅~若手は仲良し

バツマルが配属された税務署において、20代の若手は専科が若干多めの人数構成になっていました。

もともと税務職員には普通科しか存在せず、途中から専科が生まれたこともあり、昔は普通科が多数だったようですが今では専科の方が採用数が多くなっています。

税務署内の若手は仲が良く、専科普通科問わず垣根のない良好な人間関係が築かれていました。
誰が専科で誰が普通科なのかは何となく把握できていたのですが、そもそもそれが話題になることが稀で、「若手」という一括りで団結していたように思います。

同期入庁者の場合、専科は普通科より4歳もしくはそれ以上年上になるのですが、入庁した年度が同じなら敬語は使っていませんでした。
プライベートで飲みに行くこともよくあり、仕事のことを中心に色々な悩みを打ち明けられる良き仲間という感じです。

ベテランは人による

40代以上のベテランはというと、若手とは少し違いました。

専科と普通科に少し壁があると考えており、世話の焼き方や指導の仕方に差をつける人もいれば、「同じ税務職員なんだから」という若手と同様の考え方をする人もいます。

個人的な感想ですが、ベテランの普通科の職員が専科の職員を意識しているように思いました。
もともと税務署は普通科の職場だった、という昔の意識が抜けていない人がごく少数いるのでしょうね。

とくに地方の税務署に長く勤務している人ほどその傾向が強いようです。国税局や都市部の税務署のように人の出入りが頻繁なところでは、そういった考え方を持っていては部署横断的な仕事ができないのかもしません。

積極的には話題にしないのが吉

専科と普通科を意識しているかどうかは人によるのですが、たとえ若手だけの場であっても自分から積極的に話題にしないようにするのが良いかと思います。

もちろん露骨に「専科」「普通科」というワードを除外する必要はないのでしょうが、いらぬトラブルや行き違いがないようにするのが、うまく人間関係を構築していくポイントの一つだと思います。

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第一位 調査よりも事務処理に時間がかかる

さて堂々の第1位になったのは、「調査より事務仕事に時間がかかる」です。

バツマルが当初抱いていた税務調査というのは、調査先の社長の動向を知るために張り込んだり、客として潜入したり、時にはガサ入れをして段ボールに資料を詰めて持って帰ったり・・・というものです。

実際に国税専門官になり税務調査を経験してみたところ、これらが全くの見当違いかと言うとそんなこともないのですが、通常の税務調査はこんなことはしないし、なにより税務調査自体にそこまで時間は掛けない、ということがわかりました。

むしろ調査に入る前、そして何より調査後の事務処理が大変であるというのが意外なところです。

では詳しく見ていきましょう。

税務調査は通常2日間

税務調査にも色々種類がありますが、若手の調査官が行う「普通の」税務調査は、
調査先に事前連絡をし、社長や税理士同席のもとで行われ、2日間で終了します。

内容としては帳簿や請求書等の確認が主です。
タンスの中を見たり社長に詰問するようなことはありません。
資料をめくって電卓をたたいて、経理責任者に質問をする・・・なんとも地味な作業が2日間続くのです。

場合によっては2日間では終わらず、もう一日追加、ということがないではありませんが、先方にも都合がありますし、こちらとしてもいつまでも一つの調査先に時間を掛けてはいられません。

特段の事情がない限り、2日間で十分な調査が出来てしまうのです。

事務処理は数か月に及ぶことも

一方、調査に伴う事務処理はかなりの時間と労力が必要になります。

法令の確認や審理担当者への説明、必要な書類の整理、修正申告書の作成に上司の決裁・・・発見した不正が大きければ大きいほど事務処理は大変になってしまうのです。

バツマルが経験した案件で最も時間がかかったのは2か月です。
その間にも別の調査をやり、その事務処理も発生してくるので、「不正が見つからない方が仕事としてはらくだな」もと何度も思ったほどです。

③「悪と戦う」ような調査はまれ

国税専門官の採用パンフレットに書かれているキャッチフレーズを知っているでしょうか。

「巨悪と戦う」です。

何だか壮大な映画でも上映しそうな雰囲気ですが、国税局の査察官にでもなれば本当に巨額の脱税案件と戦うような場面も出てくるでしょうが、税務署で調査をしているうちは、本当に地味な仕事ばかりです。

税務調査を行って発見できる不正も、多くは悪質な帳簿改ざん等ではなく、たまたま見逃していたり単純なミスがほとんどです。

最初から脱税してやろうと思っている納税者はごく少数なのです。

とはいえ、こうした地道な調査の結果が国財政に役立っているのですから、やりがいは十分にあると思います。

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まとめ

以上、国税専門官になる前と後で感じた「想像と現実」の違いランキングでした。

国税専門官経験者なら「あるある」と頷いてくれるようなものばかりかと思います。

受験生の皆さんも国税専門官の仕事に対して様々な想像をしているでしょうが、今回の記事で想像と違ったことはありましたでしょうか。

他にもたくさん「お?」と思うことがあるはずなので、入庁して感じたギャップがあればぜひ教えてください!

今回は以上です!

コメント

  1. とかげ より:

    はじめまして。
    国税専門官のお仕事について気になることがあったので、コメントしました。
    内偵調査で風俗などに行き調査をすることがあると聞いた事ありますが、そのときにかかったサービス料金は国税職員の自腹ではなく経費として国税局から支給されるのですか?

    • batsumaru より:

      風俗代はもちろん経費です。
      ただし、内偵調査をするのは決まった部署だけですし、終了後は詳細な復命をしなければなりませんので、なかなか大変らしいです。
      使う金額も事前に上司とある程度決めておくようです。
      風俗担当だった先輩のデスクに当たり前のように風俗の雑誌やチラシが置いてあり、登庁してすぐそれらをパラパラめくっているのを見て驚いた記憶があります。

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