そもそも国税専門官はなぜ辞退者が多い?元国税専門官が真剣に考えてみた

こんにちは。元国税専門官のバツマルです

公務員受験者であれば大抵の人が知っている事実があります。

それは、
国税専門官は、合格しても辞退してしまう人が多い
ということです。

国税専門官をディスっているわけでもなんでもなく、受験者数、合格者数、採用予定数などを見れば一目瞭然なのです。

そこで今回のテーマは、「辞退が多いのはわかったけど、その理由はなんなん?」というものです。

なんとなく想像がつきそうな気もしますが、あえて文章にすることでスッキリするんじゃないかと思って書いてみた次第です。

では具体的な理由を解説していきます。

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転勤の範囲や頻度

国税専門官は国税局単位で採用され、基本的に異動も局の管轄内で行われます。
よって、県をまたいだ異動辞令が下されることが頻繁にあります。

例えば関東信越国税局の場合、異動範囲は次の通りです。

茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県

栃木県から長野県への転勤なんかだと、距離的にけっこうありますから大変そうですね。

納税者や税理士との癒着を防ぐために他の国家公務員より異動サイクルは短めと言われている国税専門官ですから、引っ越し作業や住所変更、新しい土地に対する不安が数年おきに発生するとなると、ちょっと躊躇してしまうかもしれません。

でもちょっと待ってください。
異動範囲については異論があるかもしれません。

国税と併願する人の多い国家一般職だって異動範囲は広いよ!

まさに正論。それでいて国税専門官に比べて辞退率はそこまで高くありません。
異動については理由として語るには少し弱いかもしれないですね。

※国税専門官の異動・勤務地については、こちらの記事で紹介しています!

では次の理由です。

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業務の特殊性

国税専門官の主な業務として、税務調査徴収業務が挙げられます。

これは誤解を恐れずに言うと、人の財布の中を提示させ、時に金銭を持っていくような、ヤクザもビックリな国家権力です。

無論、国税徴収法などの各種法令に従った手続きが必要になりますが、事務処理や窓口業務のイメージがある事務系公務員とは一線を画す仕事と言わざるを得ません。

どちらかというと公安系の仕事に近いですね。

そして税務調査や徴収は基本的に人から感謝されることはありません。
申告漏れを指摘して納めさせた税金は国家の収入になりますが、国家が調査官に対して感謝の言葉を述べたりするでしょうか。しませんね。

逆に納税者から嫌われることの方が多いです。

さらに税務、税法というのは極めて複雑で難解、かつ頻繁に改正が行われることから、日々知識の更新をしていかなければなりません。

頑張って採用試験に合格したとしても、一生勉強を続けていく必要があるのです。

このような業務の特殊性と困難性が受験者も承知していることが、辞退者の増加につながっていると考えられます。

もちろん地方公務員でも地方税の徴収を行う部署はありますから、採用の際には窓口だったとしてもいつか国税専門官に似た部署に異動する可能性はあります。
ですが、もしそうなったとしても数年後にはまた異動です。

国税専門官のように、基本的にずっと調査徴収に携わるということはありません。

ジョブローテーションで色々な部署を経験でき、新鮮な気持ちで仕事ができるというのは地方公務員のならではですから、そういった職場を好む人は国税専門官を本命にはしづらいですね。

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独特の職場環境

国税専門官の職場というと、主に税務署になります。

国税庁や国税局、人によっては財務省や金融庁といった可能性もあるのですが、少なくとも採用後の数年は必ず税務署勤務となります。

税務署というのはなかなか変わった組織で、まず大卒職員と高卒職員が格差をつけられることなく働いています。

署長、副署長、総務課長の幹部三人全員が高卒、ということも珍しくありません。
大卒職員と高卒職員について詳しく解説すると長くなるのですが、出世に関しては基本的に大卒が少し優遇されています。

ただし、高卒職員でも選抜式の研修を終えることが出来れば大卒と同等に出世可能です。
そして職員全体の人数で見ても高卒組が多数を占めます。

どんな税務署でも、程度の差こそあれど大卒組と高卒組、というゆるやかな構図ができているのは当然のことです。
(国税はブラック!!みたいなブログを見てみてると、大卒VS高卒ということを書いていますが、正直バツマルはそんな対立を感じたことはありません。話には聞いたことがある程度です。

他の公務員では割と大卒が出世スピードなどで高卒を引き離しているパターンが多いので、大卒受験者の中には、その点が腑に落ちないで志望度を落としている人もいるかと思います。

このあたりの詳細は、出世の限界に関する記事にも書いています。

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まとめ

さて、国税専門官の辞退者が多い理由を述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

はやり一番の理由としては、「2.業務の特殊性」が挙げられるでしょう。

逆にこの点がやりがいと感じるのであれば、きっと税務調査や徴収業務を楽しくこなせる将来有望な国税職員になれるに違いありません。

正義感と使命感を持った人を国税組織は求めていますので、そんな国税専門官志望者は頑張って合格を目指しましょう!

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