国税専門官がメンタルをやられる瞬間3選を元国税専門官が解説するよ

こんにちは。数年前まで国税専門官として働いていたバツマルと申します。
主に公務員受験の対策や国税専門官の業務について、日々ブログをアップしています。

さて今回は、国税専門官のちょっとブラックな面をテーマにしてみました。

この記事を見ている方のほとんどは、
「国税専門官はメンタルをやられる人が多い」
ということを重々承知していると思うのですが、そこから一歩踏み込んで、

具体的にどんな場面でメンタルに傷を負うのか

というピンポイントな視点で見ていこうというものです。

基本的に過去の経験を思い出しながら記事を書いていますので、心の傷をえぐることになって結構辛いのですが、その分かなり具体性のある内容だと自負しています。

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納税者から心無い言葉を浴びせられた時

ご存じの通り、国税専門官は納税者から申告相談を受けたり、税務調査を行ったり、といった業務がメインの仕事です。

仕事の多くが「対外」、つまり税務署の外の人と関わりのあるものであり、なおかつこちらは税務職員という立場から指導や是正を行い、また時には国家権力を行使して国民の財産に手をつけるなど、何かと「上から」な業務が目白押しです。

そうなると相手からの反発も当然予想されるべきものです。

税法の解釈違いや結果の落としどころなどは、資料や判例などを参考にしながら理論立てて交渉していけばよいので、そこまで問題になるケースはありません。

そうではなく、
「他にも儲かっているところはあるのに、なんでうちに」
「身内が亡くなってすぐなのに相続税の話なんかしやがって」
「・・・とにかくお前たちは税金泥棒!」

というようなロジックではなく、もはや感情の行き場を失っただけの、ただの愚痴ともとれることを延々と言われると、調査官としては非常にストレスです。

税法を読んでも答えがあるわけでもなし、上司に相談して解決するわけでもなし。
ただただ、精神的に参っていくだけで何の進展材料にもならない、やっかいな相手です。

だからと言って「ハイハイ」と蔑ろにすると、それはそれで「適当な返事で済ませやがって!」とさらなる怒りを買うような事態になりかねません。

余計な仕事を増やさないためにも、鬱積するストレスを我慢しながら拝聴するしかないのです。

「ヒステリックで非論理的なクレーム」
これこそが、国税専門官がメンタルをやられる大きな一因と言えます。

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調査で「是認」になった時

税務署にいる職員の半数以上は、税務調査を行う「調査官」です。

調査官の成績は、どれだけ調査で不正を発見できたか、という明確な数字で表されます。
大きな金額の不正を発見した、また税率の大きい重加算税を発見した、というのが調査官にとって出世への非常に大きな足掛かりになるのです。

調査から帰ってきた調査官が多額の重加算税案件を持ち帰ってきたら、上司である統括官の機嫌は最高なはずです。

よくやった!と肩を叩かれ、事後処理の相談にも積極的に乗ってくれるでしょう。

では逆に、調査を終えて帰署した調査官が、まったく不正が見つからなかった、という復命をしてきたらどうでしょう。

想像しただけも食欲がなくなりますね。

まったく不正が見つからなかった場合、これを「是認」といい、調査先に「申告された通りの内容が正しいと認めます」という書類を送るのですが、調査官にとって恥ずべきことだとされています。

調査したすべての対象者が不正を働いているはずがないので、誰でも是認になる可能性はあるのですが、それでも二回、三回と是認が続くと、調査官としては税務署に帰るのが大変なストレスになります。

何としてでも不正を見つけなければならない、というプレッシャーと戦いながら調査相手の帳簿を必死にめくり、それでもなしのつぶてだったときの絶望感

もうそのまま自宅に帰って引きこもりたくなるほど、調査官のメンタルはボコボコになります。

なお、調査官というのは出世すればするほど、総務課や国税局の主務課、財務省など調査から離れた部署に配置されていきます。
もちろん国税局の特調や資料調査課など調査の精鋭部隊に配属となることもありますが・・・出世ルートの王道ではありません。

税務調査から離れたければ税務調査で結果を出す必要がある、というのは何とも矛盾した制度です。
裏を返せば税務調査で数字が上がらない人は、調査から抜け出したくても叶わず、定年まで最前線で調査業務に従事する可能性があるのです。

民間企業の営業マンと似たような境遇ですが、それでも彼らのようにインセンティブ制度によって給与が大幅に減らされるようなことがないだけ、恵まれているとも言えます。

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内部の人間関係に疲れた時

税務署は公安系を除く公務員の中では、体育会系と言われる部類の人が多い組織になります。

根性論を持ち出す上司や、飲み会大好きな先輩など、一昔前の気質を持った職員が存在しています。
当然、新人が入ってくると彼ら歓迎の仕方として、最近の若い奴は~という定番の文句を使った説教や、毎週飲みに誘ってくるなど、新人職員にとっては厄介な職場環境が作られやすい雰囲気があります。

大きい声で説教されることや行きたくもない飲み会に誘われ続けるのって、当然ストレスですよね。
困ったことに、上司や先輩としては「新人教育の一環」と本気で思っているから質が悪いのです。

うまく躱せる性格やコミュニケーション能力があればいいのですが、大抵の新入職員は我慢、我慢でメンタルをやられていきます。

また内部の権争いに巻き込まれるとさらに面倒です。

バツマルのいた税務署では、管理運営部門の第一統括官と総務課長が同期入庁で、ライバル関係にありました。

ともに高卒で税務職員となり、選抜試験を経て大卒と同等の出世を重ねて、四十代前半という若さで署の幹部クラスになった出世頭です。

互いに違う部署のトップということもあり、何かと意見を違えて張り合い、どっちが先に一つ上の役職に就くか激しく鎬を削っていました。

当然、それぞれの部下も覇権争いに巻き込み、相手を陥れようと協力させたり、距離を取らせたり・・・

真面目に仕事がしたい部下としては、こんな上司は邪魔以外の何物でもないですよね。
心労、という言葉がぴったりと当てはまる気苦労の多い日々を過ごしたのを覚えています。

調査でもメンタルをやられ、税務署に帰ってからもメンタルをやられ・・・

調査官というのは本当に心が強くないと続かない仕事なのです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。
あくまでバツマルの経験を軸にした記事なので、当てはまらない人もいるとは思いますが、同期に聞いてみると多くは同じような経験をしたと言っていました。

国税専門官がメンタルをやられる、と一言で言っても状況は様々です。
ここに書いたようなことが、皆さんにも起こるかどうかはわかりませんが、ぜひ気持ちを強く持って、へこたれない国税専門官になってくださいね!

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