こんにちは。元国税専門官のバツマルです。
民間企業から国税専門官に転職し、さらに別の業界へ転職した経歴を持ちます。
現役の国税専門官の方、特に若手の20~30代になると一度は「転職」という言葉が頭をよぎるのではないでしょうか。
バツマルもそうでしたが、仕事をしていると辛いこと、嫌なことが色々ありますよね。
国税専門官に限ったことではないのですが、そういう境遇にあるとき、「転職しようかな・・・」と考えるのは別に普通のことなのです。
ということで、国税専門官から転職を果たしたバツマルが、体験談などを踏まえて、おすすめの業界などを書いていこうと思います。
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転職は悪いことではない!
成長のための転職はアリ
まず大前提ですが、転職自体は全然悪いことではありません。
もちろん短期間に何度も職を転々とするのはどうかと思いますが、スキルアップや今の職場が自分に合わない等の理由で転職を選ぶのは、ごく普通のことです。
心の中で愚痴を吐きながらストレスMAXな職場で頑張り続けることに何の意味があるのでしょうか。
自分の力が最大限に発揮できて、快適な職場環境に移ることは人生を豊かにする第一歩です。
国税専門官として働きながらも転職を考えている皆さん、その思考は全然間違っていないですよ。
せっかく公務員になったのに・・・と言われたら
国税専門官から転職することを考えている、伝えたときに親や友人などからよく言われる言葉です。
お金を掛けて予備校に通って、大変な試験勉強をして、せっかく採用された公務員なのになんでやめてしまうの・・・
言わんとすることはわかります。
それも本人のためを思っての言葉だということも理解できます。
でも転職を考えている人にとっては、「そういうことじゃないんだ」と言いたくなるのです。
別に一般企業に就職する時だって交通費や本代で出費はあるし、何度も面接をして苦労して採用されています。
入庁までの過程や努力の大きさが転職の足かせになるのはちょっと違うと思いますし、そもそもそんなことで思いとどまれるなら本気で転職なんて考えません。
そういうことではなくて、今現在の状況や将来の展望など、もっと先のことを見据えた時にこのまま国税専門官として何十年と勤務し続けることが、果たして自分にとって良いことなのか問うているのです。
よって「せっかく~」と言われたとしても、その言葉が心に響くことはないでしょう。
「ああ、この人は自分の悩みの本質を理解できていないんだな」と感じるはずです。
たぶん転職について相談したところで公務員の安定や地位につい説いてくるだけでしょうからあまり意味はないでしょうね。
「そうかもね」と適当に流して、しばらく距離を置くことをおススメします。
「公務員は民間で通用しない」は全くのデタラメ!
公務員をイメージで語っているだけ
よく聞きませんか?この「公務員は民間企業では全然使い物にならない」という言葉。
でも本当にそうなのでしょうか。
公務員にも色々います。
警察・消防・刑務官などの公安系。
国税専門官・労働基準監督官・財務専門官などの専門職。
キャリア、ノンキャリア、国家公務員、地方公務員、語学が堪能な公務員、行政法に詳しい公務員、定時に帰りたい公務員、残業をバリバリしたい公務員・・・
数十万人をひとくくりにできるほど、公務員は単純な組織体系になっていません。
「公務員は使えない」と十把一絡げにする人は、たまたま出来の悪い元公務員を採用してしまった会社の人か、単なるイメージで語っているだけの人でしょう。
あるいは「公務員は無能であってほしい」という心の奥底に願望があるのかもしれません。
実際、バツマルの周りで公務員から民間企業へ転職していった友人たちは、例外なく今の職場で活躍しています。
公務員時代に培った専門性をいかんなく発揮できる職場を見つけ、生え抜きの社員たちと切磋琢磨しています。
バツマルも別に自分が優秀だとは思いませんが、人事考課で同僚たちと比べて劣った点数をつけられたことはありません。
もちろん公務員の中にもやる気のない、仕事が全然できない人もいます。
けれどそれが民間企業の会社員に比べて割合が多いかというと、別にそんなことはないと思います。
その辺りのことはまともな会社の採用担当者ならわかっているので、転職活動を行うにあたって「元公務員だから」という理由で不利になることは一切なかったというのが、バツマルの経験談です。
逆に有利に働くことが多い
元国税専門官という肩書は、いい意味で堅苦しく、「真面目」「専門性がある」「税に詳しい」というプラスの評価がつきやすく、マッチした職種の採用があればかなりの確率で面接まで進むことが出来ました。
公務員試験を突破しているということで、一般的な教養は問題ないとみなされて筆記試験が免除されたこともあったぐらいです。
また現在の職場では税務署や国税局とやり取りをする業務も担当しているのですが、やはり内部の事情を知っているというのは非常に強みになります。
守秘義務に抵触することはもちろん口外できませんが、組織体系や事務処理の流れ、担当部署など普通の人が知らない情報を駆使して先方とうまく接触することで、普通の担当者よりも数段スムーズに業務をこなすことが出来ます。
国家公務員一般職の経済産業省職員から民間企業に転職した友人も、公務員時代のコネクションや専門知識を活かしてどんどん出世しています。
国税専門官から民間に転職なんてできるのか?と不安に思っている方は、まったくの杞憂に終わると思いますよ。
マッチしやすい業種、職種を見つけよう
おすすめの転職先①金融業界
どうせ転職するなら、国税専門官として働いた経験が活きる仕事を見つけましょう。
せっかく身に着けた税金や法律の知識を生殺しにしていてはもったいないですからね。
バツマルが様々な媒体から研究しまくった「おすすめの業種、職種」をご紹介します。
まずは1つ目
銀行などの金融業界です。
言うまでもなく国税専門官とは親和性が高いです。
数字に強く、決算書の分析もできます。税務の知識も普通の行員より深いですから重宝されます。
ただし銀行は中途採用の数が少ないので、募集を見つけるのが難しいかもしれません。
銀行から国税専門官への転職者も多いですから、その逆も然りというわけです。
おすすめの転職先②商工会議所
次に商工会議所。
日本の商工業の発展を目的とした経済団体で、日商簿記検定の実施をしていることで有名ですね。
商工会議所の仕事は多岐にわたりますが、中小企業の振興や企業支援において国税専門官の知識が役立ちます。
青色申告を始めとした節税方法や複式簿記による帳簿の付け方、届出書の案内など管理運営部門時代にやったことのある業務につくことがあるかもしれません。
商工会議所は職員の待遇もしっかりしています。例えば年収でいうと入職8年目の三十代で約600万円、課長職で1000万円ほどです。
ただしこれは財政的に余裕のある地域の商工会議所の例になります。
商工会議所は全国にたくさんありますが、それぞれの財政状況によって職員の給料も変わってきますから、事前にしっかりチェックしておきましょう。
おすすめの転職先➂経理・財務部門
そして三つ目。職種ではないのですが、経理・財務部門への転職です。
経理・財務部門と言っても仕事は様々ですが、国税専門官の力が発揮できる業務としては、「伝票業務」「各種税務申告」「固定資産業務」「決算業務」などが挙げられます。
特に各種税務申告の業務は、国税専門官の本業に近いものがあります。
法人には様々な税が課されますが、税法の複雑さや毎年の法改正により、税務申告業務は年を重ねるごとに専門性が求められています。
企業としては税法に詳しい人というのは採用募集をしてもなかなか集まらないことから希少価値があり、国税専門官という経歴は重要視されます。
バツマルの知っている元国税専門官たちの多くが、大企業を中心とした会社の経理職に転職していきました。
彼らに転職成功の聞いてみると、やはり「前職である国税専門官の専門性が評価された」という声がほとんどでした。
そのうちの一人は国税局勤務時代に得た高いスキルを活かした仕事をしており、大企業の管理職として活躍しています。
在職中の転職活動はまったく違法じゃない!
職務専念義務違反に当たらない
国家公務員としての身分にありながら転職活動をすることは、実は違法でもなんでもありません。
たまーに「職務専念義務違反!」とか訳の分からないことを言っている人がいますが、定時後に家で転職サイトを見ることの、どこが職務に専念していないことになるのか説明してほしいものです。
家に帰ったあとのことまでとやかく言われるような職場があるとしたら、それこそ一刻も早く転職をすべきブラック企業と言うことになりますね。
もちろん就業時間中にこっそりスマホで転職サイトを使っていたらダメですよ。
注意点としては、内定をもらったらすぐに上司に報告すること。直属の上司への報告が気まずければ総務課でも構いません。
国税専門官に限らず国家公務員は、在職中に企業などから内定をもらったら任命権者に届出を行うこととされています。
指定の用紙がありますので、後でややこしいことにならないようきっちり提出しておきましょうね。
地方公務員は独自ルールあり
地方公務員については自治体や役職によっては在職中の転職活動を規制するルールが存在することがあります。
自治体の規則をしっかりと調べて、後から色々言われながらの退職にならないよう気を付ける必要があります。
せっかく転職に成功しても、円満退職じゃないと何だか後味が悪くて嫌な気分になりますよね。
国税専門官についてはその辺りの縛りはありませんから、自身の人生を豊かにするためにも転職したいと思っているのであれば積極的に動きましょう。
新しい職場は自分で探さなければいけません。向こうからやって来てくれませんからね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
転職を考えているということは、今の職場に何らかの不満があるということだと思います。
どんな職場でもいい点・悪い点はあるでしょうが、それが自分の中で妥協できるかどうかは重要なものです。
もし「ここだけは譲れない」というところが納得いっていないのであれば、このまま仕事を続けたとしてもいつか限界が来るでしょう。
年齢が上がるにつれて転職は難しくなっていきます。
まずは世の中にどんな仕事があるのか、自分にマッチした仕事はあるのかを、転職サイトで眺めてみるだけでもいいと思います。
その結果「やっぱり国税専門官を続けよう」となってもいいじゃありませんか。
けれどもし、もしも「この会社いいかも・・・」という募集を見つけたら、思い切って履歴書を送ってみることをバツマルはおすすめします。
バツマルもそうして今の職場に転職しました。結果は、大大大大成功だと断言できます。
その辺りのお話も、いずれはブログにしたいと思っています。
今回は以上です!
コメント
バツマル様
こんばんわ。お忙しい中、早々のお返事ありがとうございました。
現在している仕事内容をうまくアピールできるように、税務署だけでなく、局の方でも勤務して、今より多くの様々な経験を積みたいと思います。
簿記•会計の資格以外では、英語の資格が役に立つんですね!大変、参考になりました。TOEICやTOEFLの試験勉強もしていきたいと思います。
ご丁寧に説明していただき、誠にありがとうございました。
[…] このあたりのことは、こちらの記事で詳しく書いていますので興味のある方は読んでみてください。国税専門官から転職しやすい業種、職種というのがありますから、そこに照準を合わせて自分を売り込んでいくと、その辺の民間企業で営業をやっていた人よりもずっと楽に転職活動を進めることが出来ますよ。 […]
バツマル様
はじめまして。
現在、国税(法人部門)で働いているものです。
将来、大企業の経理•財務に転職したいと思っていますが、簿記一級の取得は、大企業の経理•財務に転職する際、有利となると考えられますでしょうか?その他、大企業の経理•財務への転職に有利な資格などありましたら、教えていただきたいです。
ちなみに現在、簿記二級は保有しおり、
簿記一級を勉強しております。
かめ様
はじめまして。バツマルです。
大企業の経理・財務となると、連結決算等の複雑な業務に携わることになるかと思います。
簿記一級の市場価値は高く、転職の際に有利になると考えられます。
基本的に転職では実務経験が重視されますが、法人部門での経験を面接等でどのようにアピールできるかがポイントです。
簿記一級以外の資格ですと、国際会計検定や高スコアのTOEIC、TOEFLが役に立ったと元同期から聞いたことがあります。
こんばんわ。お久しぶりです。半年くらい前にコメントをしました、国税専門官(法人)をしています、かめといいます。
最近、転職活動をしていまして、大手企業の経理部門に内定をいただきました。
バツマル様のブログコメントなどをたくさん参考にさせて頂きました。誠にありがとうございました。
今回は、転職後について質問をしたくコメントさせて頂きました。
バツマル様は、現在のお勤め先へ内定をもらわれてから入社するまでに、なにか新たに知識を習得するために勉強したり、現在でもされていることはありますでしょうか?
私は経理部門の中で税務部門に配属予定ですが、転職後戦力として期待を裏切らないように、なにか勉強する必要があるのではないかと感じております。
お手すきの際にコメントいただければ幸いでございます。