税務署の部署を徹底解説!国税専門官の仕事① 法人課税部門とは?

公務員

こんにちは過去に国税専門官として働いていたバツマルと申します。

税務署には様々な部門が存在しますが、今回はその中でも「法人課税部門」の説明をしていきたいと思います。

名前から何となく予想がつきそうですが、よかったら最後まで読んでみてください。

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法人(会社)への調査を行う部門

法人課税部門は、その名の通り法人(株式会社、有限会社、公益法人など)に対して税務調査や指導を行う部署になります。

第1部門から、大きい税務署だと15部門まであったりします。

法人課税部門は税務署の中で花形の部署と言われています。
対法人ということでダイナミックな調査が期待されますし、不正の数字も大きくなりがちです。

昨今ではITを駆使した調査や、国際取引に精通した専門の調査官を配置するなど、法人に対する不正取り締まりが強化されています。

国税組織として、法人調査に力を入れたいという狙いがあるのでしょう。

法人課税部門が扱う税目としては、法人税、消費税、印紙税、源泉所得税、酒税があります。

酒税は課税されている事業者が多くないことから、主要な税務署にのみ担当官が配置され、定期的に周辺の税務署を回りながらサポートを行っています。

法人には様々な税が課されており、個人に比べて申告が複雑になりがちです。

またほとんどの場合税理士や会計士がついているため、貧弱な論法で不正を指摘しようものなら、たちまち論破されてしまいます。

しっかりと税法の知識をつけて調査に臨まなければ返り討ちにされてしまう可能性があるのです。

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第1部門、第2部門、それ以外の部門で役割が違う

第1部門は基本的に税務調査を行いません。
部門全体の管理を行うのが第1部門の役割になります。

調査結果の妥当性を検討する「審理」が第1部門の代表的な業務になります。

第2部門は特別調査(特調)というチームが置かれており、主に調査が困難な事案を担当します。
例えば、以前に不正を行ったことがあり今回も仮装を行っている可能性がある、調査に非協力的で間に入る税理士もいない、等の事案です。

ここで調査を行う特調担当は上席調査官と統括官の間ぐらいのベテランが任され、反面調査や銀行調査を駆使し、長期間を掛けて慎重に調査を行います。

また特調担当には、若手の調査官や事務官が「特調付」としてペアになっていることがあり、二人一組で調査業務にあたっています。

特調担当も特調付も、税務署内では調査の得意な職員が抜擢されます。
税務署組織のことをよく知っている税理士に「第2部門が調査に来る」と伝えると、
「あっ・・・(察し)」という顔をされるぐらいには警戒されています。

第3部門以降は通常の調査を担当することになりますが、税務署によっては専門的なチームを置いたり第2部門と連携した調査を行ったりと、様々な工夫を凝らして調査の効率化を図っています。

あるいはこれらの部門とは独立して「特別調査官(特官)」という人が配置されている税務署も多いです。
特官は副署長~統括官クラスの役職で、第〇部門には属せず、いわば特官自体が部門そのものとして機能しています。

大規模な法人や特殊な事案に対応するためのポストであり、調査能力はピカイチです。

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部門トップは統括官、次は総括上席が続く

次に部門のメンバーについて解説していきましょう。

部門の長であり、まとめ役となるのが統括官です。民間企業でいうと課長クラスになります。
国税専門官として採用されたのであれば、この役職には到達したいところです。

第1部門の統括官は筆頭統括官といい、他の統括官よりワンランク上の立場になります。

その次は総括上席になります。総括上席は統括官の補佐を行います。企業の課長補佐という立場になります。
総括上席という名称は第1部門にのみ用い、第2部門以降は筆頭上席と呼ばれます。

その下には係長クラスの上席がいます。係長といっても業務内容は普通の調査官とほとんど変わりません。
調査官が年数を重ねさえすれば到達することが出来るポストで、出世できない職員の場合は上席で定年になることもあります。

そして調査官。国税専門官の場合は採用後約3年で調査官に任官されます。
税務署内ではまだまだ若手です。

最後に事務官。まだ専科研修を終えていない半人前の状態です。
とはいえ普通に調査は行えますので、できる事務官は調査官に引けを取らないぐらいの不正を見つけてきたりします。

事務官を2年経験すれば調査官になります。
事務官はまだ半人前なので、管理を行う第一部門には基本的にいません。

法人課税部門の代表的なメンバー編成としては、以下のようなものになります。

統括官、筆頭上席、上席、調査官、事務官の順に席の配置も決められます。
末席である調査官や事務官は当然、統括官から遠い席になりますね。


税務調査の秘密第2版 [ 大村大次郎 ]
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大きい仕事がやりたいなら法人課税部門!

税務署の仕事でメインは何かと聞かれたらやはり税務調査です。
中でも法人課税部門が稼いでくる追徴課税の額は大きいです。

やはり不正を発見した時の達成感は、かかった労力と追徴課税の額に比例して大きくなります。

地方税務署の調査官が中小企業を調査しても、数百万円の不正が見つかることが全く珍しくありません。
調査を初めて数年の経験が浅い調査官ですらこれです。

ベテランの特徴ともなれば、法人税、消費税、源泉所得税を各3年分まとめて総チェックし、莫大な追徴課税を指摘してくる人もいます。

資料集めや反面調査が大変だけれども、とにかく大きい案件、大きい数字を見つけて重加算税を取ってきたいなら、迷わず法人課税部門でしょう。

かくいうバツマルも法人課税部門で働いていました。
その時の税務署内でも法人課税部門の先輩方はとても優秀で、時々とんでもない額の重加算税を引っ提げて調査から戻ってきては、当然のような顔をして署長室へ決裁を仰ぎに行く姿を見て、

かっけえ・・・

とため息を漏らしたものです。

どうでしょうか。
法人課税部門の仕事について魅力が伝わったでしょうか。

現在研修中で税務署配属前の人、あるいは管理運営部門で見習い中の人で、少しでも法人課税部門に興味を持ってくれたら嬉しいです。

今回は以上です!


知って得する税務調査の奥の奥 [ 清家裕 ]

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