国税専門官を安定やイメージで選んでしまうと失敗するかも!?

こんにちは。元国税専門官のバツマルです。

いきなりですが、国税専門官とそれ以外の公務員両方に受かったら、あなたはどちらを選びますか?

多くの受験生が国税専門官を選ばないことはよく知られています。
ですがそれは当然の結果だと言えます。

いわゆる公務員、お役所の仕事とは違いますからね。

先ほどの質問に対して「国税専門官を選ぶ!」と答えたあなた。

今一度聞きますが、なぜ国税専門官を選ぶのでしょうか。
そこに確かな理由があればいいのですが、もし「何となく」といった曖昧な答えしか出てこないのであれば、ちょっと考え直した方がいいかもしれませんよ。

国税専門官が第一志望だったのに、数年で退職したバツマルの話をちょっと聞いてみてください。

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国税専門官は「いわゆる公務員」とは違う

特殊な仕事内容

国税専門官の業務は税務相談、税務調査や徴収などがメインになります。国税専門官の業務は税務相談、税務調査や徴収などがメインになります。

はっきり言って、ストレスが多い職場なのは間違いありません。

公務員だから、身分が保証されているから、安定しているから、といった保守的な理由で国税専門官を選んだら、確実に後悔します。

それならば絶対に地方上級や国家一般職を選んだほうが間違いないです。

もちろんこれらの公務員にも窓口対応業務などでストレスはあるでしょう。
が、それも数年経てば異動で別の業務に代わる可能性が高いですよね。

ですが国税専門官はそうではありません。少なくとも統括官になるまでは現場で調査・徴収業務の第一線で戦うことになります。統括官になるのは早くても40代前半でしょうから、入庁から20年ほどは精神的にキツイ仕事を続ける必要があります。

税務調査が大したストレスではないと思っている人は、考えを改めた方がいいです。

これは経験した人にしか絶対に理解できないので、現役国税専門官か元国税専門官だけが語れることです。

「何としても増差(不正)を見つけなければ」
というプレッシャーに襲われながら、調査対象者や税理士とやり取りをするのは、想像以上に辛いものなのです。

「何もなかったから帰ろう」では済まされない世界が、税務調査なのです。

もうこれ以上は言いませんが、とにかく国税専門官の仕事はスレトスが半端じゃないです。

ぼんやりとしたイメージやテレビドラマからの影響で憧れを持っているのであれば、もっとよく調べてみることをおススメします。

体育会系の雰囲気

他の公務員の職場と大きく違うもう一つの点として、「体育会系」が挙げられます。
役所や国家一般職には比較的大人しく、穏やかな性格(というか、ガツガツした環境を嫌って公務員になる人)が多いのですが、国税専門官は違います。

目標という名の明確なノルマが存在する以上、一般企業の営業マンのように自分の足とコミュニケーション能力をフル活用して数字を稼いでくるのが仕事です。

黙々と書類を処理したり電卓をたたいたり会議に出席したり・・・公務員と言えばこういう姿を思い浮かべる人が多数ですが、どちらかというと公安系に近い国税専門官は別と考えてください。

根性、食らいつく、といった昭和なワードが普通に飛び交う職場です。
その環境に染まってしまえば何とかなるのでしょうが、そこまで何年かかるのか、耐えられるのかは性格や適性によるので何とも言えませんが、国家公務員という肩書や安定に憧れて入った人ほど、肩を落として退職していくのは言うまでもありません。

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国税専門官に関する、よくある勘違い

税務調査は相手を派手に追い詰めるようなことはしない

国税専門官を第一志望にしている受験生によくある勘違いなのですが、「税務調査は、強制的に事務所をガサ入れし、床下の現金を見つけたり、ゴルフバッグを差し押さえたりするんでしょ?」というものです。

はっきり言って、そんなことまずしません。

強制捜査や差し押さえをするのは、国税専門官の中でも国税査察官の仕事です。
彼らは国税局の職員であり、税務署で働くうちは強制捜査や差し押さえなんてありえません。

税務署が行う税務調査は、しん、と静まり返って時計の針の音が聞こえるような部屋で調査官が帳簿のページをめくるのを、経理担当者と税理士が黙って見ている・・・というようなものです。

時折、内容について確認のために会話が少しありますが、本当に黙々と進みます。

不正を暴かれてうなだれる社長の肩をぽんとたたく・・・なんてやったことないですね。
税務調査は、とても地味で、地道で、事務的なものだと覚えておいてください。

引き出しや机をひっくり返したいなら、激務で有名な査察官になるしかないですね。

調査先は自分で選ぶんでしょ?

どこを税務調査するか、当然その調査官が自分で決めていると思っていませんか?
もちろんそういう場合もありますし、ポストによっては自分で選定して自分で調査する人もいます。

が、事務官や調査官ではまず自分に決定権などありません。
上司である統括官から指示された案件をこなすだけです。

統括官は様々な理由で調査先を選定していますが、一貫して「何かしら怪しいところがある」という思いがあるところを選びます。

ですので、部下である事務官や調査官にも「〇〇の支出があやしいからそこを重点的に見てこい」と指示します。

どこに調査に行って、どういうところを見てくるのか、そこまでお膳立てされているわけです。
個人的には自分で申告書や申請書を洗い出して怪しそうなところを調査に行くのが楽しそうだと思っていたので、統括官から「ここ行ってこい」と言われたときはちょっと残念でしたね。

しかも上司が選んだ調査先ですから、「なにも不正はありませんでした」では済まないことは言うまでもありません。
不正や誤りがあるだろうと思って上司が指示したのに、指示された部下が手ぶらで帰ってきたのでは面目丸つぶれです。

なので調査担当者は何とかして不正を見つけなければ、と奮い立つわけですね。うまい制度です。

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理想と現実の違いが大きいと、後悔することになる

枠しくは「私が夢だった国税専門官をやめた理由」という記事を読んでください。

「地方より国家の方がかっこいいでしょ」
「給料高いから国税がいい」
「納税者をいじめられるなんてドSの自分に向いている」
「ドラマで見た国税専門官かっこいい!ブラックだなんて嘘だ!」

このように何となくのイメージや良い部分だけを見ている人が、希望にあふれて国税専門官になってしまうと、高確率で数年以内に退職することになります。

私、バツマルがそうでした。

勘違いしないで欲しいのは、国税専門官という仕事がすさまじいブラックで、絶対にやめておけ、と言っているわけではないのです。

ただ、国税専門官について良く調べてください。
良い部分、悪い部分の両方をじっくりと検討することが重要です。

ちゃんと調べているよ!と思った人。無意識に国税専門官の良いところばかりを調べてしまっていませんか?
ネガティブな記事やコメントは読む前に閉じてしまったり、読む前から「どうせ誇張しているんだろう」と斜に構えてしまっていませんか?

中立的な視点で調べることが大事です。

そして色んな人の体験を聞きましょう。
特に現役国税専門官と元国税専門官はマストです。

実体験した人の話は具体的で信頼性がありますからね。

ネット、テレビ、本、職員、様々な角度から情報を集め、それでも国税専門官になりたいと結論を出した人なら、きっと素晴らしい職員になると思います。

国税専門官は国家の税収を守る、素晴らしい責務を負った公務員です。
できることならバツマルも定年まで職務を全うしたかったのですが、どうやら自覚と資質が足りていなかったようです。

皆さんにはぜひ、バツマルの屍を超えていただき、自分の人生が豊かになる選択をしてもらえればうれしいです。

今回は以上になります!

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