大卒レベルの公務員の中でもブラック度が高いと言われる国税専門官ですが、筆者のバツマルは数年前に現役で国税専門官として働いていた経験があります。
もちろんホワイトな部分もあるのですが、正直言って噂通り「ブラックだなあ」と思うことが多々あったことは事実です。
今回は国税専門官のブラックな点を、経験者として語っていこうと思います。
なお、「逆に国税専門官のホワイトな点だけ挙げてみた」という記事もありますので、併せて読んでみてくださいね!
【関連記事はこちら】
- 国税専門官って結局ホワイトなの?ブラックなの?
- 国税専門官の仕事その1 法人課税部門って?
- 新人国税専門官のための租税教室 所得税編
- 国税専門官試験の科目別対策 数的処理編
- 私が夢だった国税専門官を退職した理由
感謝なんてまずされない!逆に罵倒される仕事
国税専門官になって何が辛いかというと、対応した納税者から感謝された覚えがほとんどないことです。
民間企業でブラックと言われる飲食業界や介護業界で考えてみると、確かに労働環境や業務内容は相当大変だと思いますが、お客さんや対応した人から感謝されることは珍しくないですよね。
ですが国税専門官は違うのです!
なぜなら国税専門官は「税金で飯を食っているくせに、さらに税をむしり取ってくる奴ら」と思われているからです。
確定申告をしたいと言われて手伝った結果が納税だったら「なんで税金を払うことになるんだよ!」と理不尽に言われ(控除が少なくなるような内容なら納税になるのは当たり前なのですが・・・)、税務調査に行って不正を指摘したら社長や経理担当者から嫌味を言われ、現金で納税をしたい人の受付をしただけで舌打ちをされる・・・
どうですか?
暴力行為はないにしても、こうも他人から叩かれ続ける職業も珍しいのではないでしょうか。
感謝されることが全然ないかというと、もちろんそんなことはありません。
ですが割合的には対応した人の10%ぐらいでしょうか。
管理運営部門で窓口対応している間は20~30%ぐらいになるかもしれませんが、調査部門や徴収部門に行くと感謝される確率はガクンと減りますから、平均するとやはり10回に1回ぐらいと思ってください。
人間関係がとにかく面倒くさい
国税組織の中の人間関係も大変面倒くさいことが多いです。
第一に、前時代的な体育会系で年功序列のヒエラルキーが形成されており、若手の事務官や調査官は始業時間の30分前に出勤してコーヒーメーカーの準備やコピー用紙の補充、その他雑務を終えなければならない慣習があります。
税務署によっては先輩の机や電話機の掃除までしなければならないような、ともすればハラスメントと言われかねない独自ルールがまかり通っているところもあります。
また体育会系で根性論を持ち出す職員(主に40代以上の職員)が最低でも部署に一人はおり、「調査方法は見て盗め」だの、「根性がないから不正が見つけられない」など、令和時代とは思えないようなロジックを展開してきます。
「まさにおっしゃる通り!」
と本気で賛同できるのならバツマルは何も言いませんが、一般人の感覚からすると、
「何言ってんの?」
と首をかしげたくなります。
次に飲み会の多い職場である点がブラックだと感じます。
これも税務署や部署によるところは大いにあるのですが、普通の公務員に比べて圧倒的に飲み会の数が多く、お酒好きの職員の割合も高いです。
「お酒好きだし大丈夫!」
と思っているかもしれませんが、前述したようにズレた精神論で説教してくるような上司や先輩から週4のペースで誘われても同じように答えられるでしょうか。
別に統計を取ったわけでもなんでもないのですが、同期や年の近い若手職員に聞いたところでは、頻繁に飲みに誘ってくるのは温厚で論理的な人ではなく、正直、同じ職場でなければ近寄りたくもない人種が多い傾向にあるようです。
また忘年会や確定申告お疲れ様会などの税務署全体の公式飲み会も年に数回開催され、若手職員は楽しむどころか、署長副署長を始めとした幹部のお酌やご機嫌取りに追われ、食事を採ることすらままなりません。
そのくせ会費だけは他の職員と同じだけ払わされるのですから、たまったものじゃないですよね。
まとめると、古い考えの職員がいることと飲み会が面倒なのが地味に辛い、ということです。
一生勉強を続けないといけない
国税専門官である以上、税法のプロとしてたえず知識をアップデートしていかなければなりません。
税務調査を行って不正を見つけるには、時に重箱の隅をつつくような細かい論点を攻める必要が出てきます。
基本の税法を抑えるのはもちろん、通達や判例にも精通していないと、たちまち税理士に論破されてしまいます。
また税法というのは複雑怪奇な内容で、深く理解するには相当な時間がかかります。
そのくせ頻繁に改正が繰り返されるのですから、勉強する身としては本当に大変です。
更に言うと最近はIOTや国際取引も税務に深くかかわっています。
中小企業ですら三国間取引や電子決済は当たり前のように行われていますよね。
国際税務等を専門に担当する職員でなくとも、新聞やニュースをしっかりとチェックして知識を更新し続けることが、退職するまで続くのです。
記憶力が落ち、流行に鈍感になっていく中年以降も、決して経験則やカンだけでは通用しないために、必死に勉強することがどれほど大変か、想像に難くないですよね。
他にもたくさんあるブラックな点・・・
国税専門官のブラックさはまだまだあります。
納税者や税理士との癒着を防ぐために頻繁に行われる異動、
出世のためには国税局や国税庁で地獄の残業を耐えなければならない、
署の幹部ポストが少なく、統括官(課長級)にすらなれず退職する者がいる・・・
どんどん出てきますが、書ききれないのでこのくらいにしておきましょう。
今回はあえて国税専門官のブラックな点ばかりを書いてみましたが、ホワイトな点を知りたい方は「逆に国税専門官のホワイトな点だけ挙げてみた」を見てください。
どんな職業にもいい点、悪い点があります。
ネットでブログを書いているバツマルがいうのもなんですが、ネットばかりで情報を集めるのではなく元職員や現役職員の声を聞くようにしてください。
あらゆる角度からの情報を集めないと、真実が何かはわかりませんから。
これから国税専門官を目指す方々は、ブラックな点とホワイトな点をしっかりと調べてみてください!
今回は以上です。
コメント
[…] 国税専門官のブラックな点を正直に挙げてみる […]